ご挨拶
2024年で100周年を迎えたエンジンシステム研究室は工学部の中で最も長い歴史を持つ研究室で、自動車、重工業、鉄道、エネルギー、電気・通信分野に数多くの卒業生を輩出しています。これまでガソリン、軽油、天然ガスなどの化石燃料を用いてエンジンを駆動し、自動車による移動や発電を通じて人類の発展に大きく寄与してきましたが、排出される二酸化炭素による地球温暖化が課題です。アメリカや中国では電気自動車が開発・販売されていますが、現在世界で使用されている約16億台のエンジン車を全て電気自動車に置き換えるのは困難で、水素、メタノール、e-fuelといったカーボンニュートラル燃料の既存エンジンへの適用が現実的だと考えられています。
エンジンシステム研究室では、例えばe-fuelの市場導入を好機と捉えて、e-fuelの組成とエンジンシステムの両面からエンジンの熱効率向上と排出ガスの低減を両立できるシステムの研究開発を進めています。また、エンジンのピストン圧縮により温室効果ガス(メタン、二酸化炭素)をe-fuelの原料である合成ガス(水素、一酸化炭素)に変換する研究も実施しています。
このように、エンジンシステム研究室ではエンジン研究を通じてモビリティーやエネルギー社会に貢献できる人材の育成を進めています。
沿 革
本研究室は、北海道帝国大学に工学部が設置された1924年に原動機学講座として設立された、日本の内燃機関研究室の中で最も長い歴史を持つ研究室の一つです。現在は、北海道大学院工学研究院機械・宇宙航空工学部門熱流体システム分野を構成する4研究室の一つです。
1876.8 札幌農学校開校
1887.3 札幌農学校に工学科設置
1918.4 北海道帝国大学設置
1924.9 北海道帝国大学に工学部設置
工学部に「原動機学講座」を設置
1925.5 「原動機学第二講座」に改称
1964.4 「熱機関学第二講座」に改称
1996.4 「熱システム工学分野」に改称
2005.4 「応用熱工学研究室」に改称
2018.4 「エンジンシステム研究室」に改称